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【高配当ちゃんの3分でわかる決算短信・じっくり版】売上は伸びた。利益はアルミに食べられた。リョービ2026年12月期中間決算

2026年8月5日、リョービ株式会社が2026年12月期第2四半期、いわゆる中間決算を発表しました。

今回の決算を一言でまとめると、

売上は伸びた。利益はアルミに食べられた。
それでも通期上方修正と増配は持ってきたんよ~。

という内容です。

中間期は増収となった一方で、営業利益は前年同期比25%を超える減益。数字だけを見ると、少し心配になる決算です。

ところが、会社は同時に通期業績予想を上方修正。さらに年間配当も前期実績を上回る106円を予定しています。

「上期は減益なのに、なぜ通期は上方修正できるのか?」

今回は、リョービの決算短信を読みながら、その理由を高配当ちゃんと一緒に確認していきます。

目次

まず3行で今回の決算

  • 中間期は売上高1,567億円で前年同期比2.0%増
  • 営業利益は44億円で25.4%減の増収減益
  • 通期業績予想を上方修正し、年間配当は106円を予定

売上高は増えましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益はいずれも前年同期を下回りました。一方、年間配当は中間52円、期末54円の合計106円が予定されています。

高配当ちゃんメモ:

売上は増えた。利益は減った。
でも通期予想と配当は上がった。
一行ごとに雰囲気が変わる、ちょっと忙しい決算なんよ~。

中間決算の数字を確認

まずは、2026年1月から6月までの連結業績を見てみましょう。

項目2026年中間期前年同期比
売上高1,567億73百万円+2.0%
営業利益44億54百万円-25.4%
経常利益48億34百万円-20.7%
親会社株主に帰属する中間純利益40億3百万円-9.6%
1株当たり中間純利益125.87円前年同期136.78円

売上高は前年同期から約30億円増加しました。

しかし営業利益は約15億円減少し、営業利益率も前年同期の3.9%から2.8%へ低下しています。

売上は伸びているのに、利益は大きく減っている。今回の決算で最も重要なのは、この増収減益の理由です。

高配当ちゃんメモ:

去年よりたくさん売ったのに、去年より儲かってないんよ。
リョービさん、忙しく働いたのにお財布だけ軽くなってるんよ……。

なぜ売上が増えたのに利益は減ったのか

主な原因は、リョービの主力事業であるダイカスト事業における原料アルミ価格の上昇です。

会社によると、ダイカストの生産量自体は若干減少しました。

それでも売上高が増えたのは、

  • アルミ価格上昇分の売価への転嫁
  • 円安による海外子会社の円換算売上高の増加

があったためです。

ここで注意したいのは、売上高の増加が、そのまま販売数量の増加を意味するわけではないことです。

アルミ価格が上昇した分を販売価格へ反映すれば、売上高は大きく見えます。また、海外で得た売上を円へ換算したとき、円安であれば円換算額も増加します。

一方、利益については、アルミ価格の上昇分をすぐに販売価格へ転嫁できるわけではありません。

原材料価格が先に上がり、値上げが反映されるまでには一定の時間がかかります。その時間差によって、原材料費の増加が一時的に利益を圧迫しました。

リョービは原価低減や生産性向上を進めましたが、急激なアルミ価格の高騰を吸収しきれず、ダイカスト事業は増収減益となっています。

高配当ちゃんメモ:

アルミ代が先に上がる。
お客さんへの値上げは少し遅れて反映される。
その間だけ、リョービさんがアルミ代を立て替えてるみたいな状態なんよ~。

売上の91%を占める「ダイカスト帝国」

リョービの中間期売上高1,567億円のうち、ダイカスト事業の売上高は1,433億10百万円。

連結売上高に占める構成比は、なんと**91.4%**です。

前年同期との比較では、次のようになりました。

ダイカスト事業2026年中間期前年同期比
売上高1,433億10百万円+6.2%
営業利益47億円-7.0%
営業利益率3.3%前年同期3.7%

売上は83億円以上増加しましたが、営業利益は約3億5千万円減少しました。

リョービの売上高は、ほぼダイカスト事業でできています。そのため、ダイカスト事業の利益率が少し低下するだけでも、会社全体の営業利益へ大きな影響が出ます。

今回、会社全体の営業利益が25.4%減少した背景には、主力ダイカストの減益だけでなく、後述する住建機器と印刷機器の赤字転落もありました。

高配当ちゃんメモ:

売上の9割以上がダイカスト。
もうリョービさんというより、ほぼダイカスト帝国なんよ。
だからアルミが暴れると、帝国全体が一緒に揺れるんよね。

住建機器は中国元高で赤字へ

住建機器事業の売上高は50億81百万円で、前年同期比5.5%減となりました。

営業損益は、前年同期の16百万円の黒字から、1億85百万円の赤字へ転落しています。

会社の説明では、国内・海外ともに売上高が減少。さらに、生産拠点のある中国からの調達コストが、中国人民元高によって上昇しました。

原価低減や経費節減を進めたものの、減収と調達コスト上昇の両方を補うことができなかった形です。

高配当ちゃんメモ:

売上は減る。仕入れは高くなる。
前からも後ろからも押されてるんよ……。
経費節減だけで全部止めるのは、さすがに無理だったんよね。

印刷機器は売上約38%減

印刷機器事業は、今回かなり厳しい結果となりました。

印刷機器事業2026年中間期前年同期比
売上高82億53百万円-37.8%
営業損益38百万円の赤字前年同期9億35百万円の黒字

売上高は前年同期から約50億円減少。営業損益も、9億35百万円の黒字から38百万円の赤字へ落ち込みました。

会社は、先行きの不透明感によって設備投資マインドが低下し、国内・海外ともに売上が減少したと説明しています。

工場や事業者が「今は新しい設備を入れるのを少し待とう」と慎重になれば、印刷機器の受注にも影響します。

ただし、赤字額そのものは38百万円です。売上の減少幅と比べると赤字は比較的小さく、今後の需要回復やコスト対応によっては黒字へ戻せる可能性もあります。

一方で、前年同期には9億円を超える利益を出していた事業だけに、会社全体の減益要因としては無視できません。

高配当ちゃんメモ:

去年は9億円以上稼いでたのに、今年はちょっとだけ赤字。
印刷機さん、仕事が急に減って休憩時間が増えすぎたんよ……。

純利益の減少が営業利益より小さい理由

営業利益は25.4%減少しましたが、親会社株主に帰属する中間純利益の減少率は9.6%にとどまりました。

損益計算書を見ると、当中間期には投資有価証券売却益10億23百万円が特別利益として計上されています。

前年同期の投資有価証券売却益は1億43百万円だったため、今回は有価証券の売却が最終利益を下支えしたと考えられます。

つまり、純利益40億円のすべてが本業だけで稼ぎ出されたわけではありません。

本業の実力を見るときは、純利益だけでなく営業利益の動きも確認する必要があります。今回の営業利益率は3.9%から2.8%へ低下しているため、今後はダイカスト事業の採算改善が重要になります。

高配当ちゃんメモ:

本業はアルミに苦戦。
そこへ投資有価証券の売却益が助っ人に来たんよ~。
ありがたいけど、毎回同じ助っ人が来るとは限らないんよね。

上期は減益。それでも通期予想は上方修正

今回の決算で面白いのは、中間期が減益だったにもかかわらず、会社が通期業績予想を上方修正したことです。

項目前回予想修正後予想増減
売上高3,130億円3,400億円+270億円
営業利益128億円130億円+2億円
経常利益133億円140億円+7億円
親会社株主に帰属する当期純利益115億円120億円+5億円
1株当たり当期純利益361.53円377.25円+15.72円

特に大きく引き上げられたのは売上高です。

会社は、ダイカスト事業の生産量については前回予想から若干減少すると見込んでいます。それでも、アルミ価格上昇分の売価への転嫁が進むことや、円安によって海外子会社の円換算売上高が増えることから、売上予想を270億円引き上げました。

利益予想の上方修正幅は、売上高ほど大きくありません。

営業利益は2億円の上方修正にとどまっており、売上高が270億円増えても、すべてが利益になるわけではないことが分かります。

会社は下半期について、おおむね前回予想どおりに推移すると見込んでいます。今回の利益予想修正は、中間期の実績が当初想定を上回った分を反映したものです。

高配当ちゃんメモ:

売上予想は270億円増えた。
でも営業利益予想は2億円だけ増えた。
売上の数字は大きくなるけど、アルミ代も一緒に付いてくるんよ~。

「上方修正」という言葉だけで喜びすぎない

業績予想が上方修正されると、どうしても好材料に見えます。

しかし、修正後の通期予想を前期実績と比べると、すべての利益が増えるわけではありません。

修正後の通期予想は、

  • 売上高3,400億円、前期比10.0%増
  • 営業利益130億円、同2.6%増
  • 経常利益140億円、同4.2%減
  • 親会社株主に帰属する当期純利益120億円、同7.3%増

となっています。

営業利益は前期を上回る予想ですが、経常利益については前期比減益の予想です。

「上方修正=前年よりすべて絶好調」ではなく、以前会社が出していた予想より良くなったという意味です。

何と比較して上方修正なのかまで確認することが、決算を読むうえでは大切です。

高配当ちゃんメモ:

上方修正と聞くと全部モリモリに見えるけど、前年と比べると減ってる項目もあるんよ。
“誰と比べて勝ったのか”を確認するんよ~。

株主へのおみやげは年間106円

高配当投資家として、忘れてはいけないのが配当です。

リョービは2026年12月期の配当について、

  • 中間配当52円
  • 期末配当54円
  • 年間配当106円

を予定しています。

前期の年間配当は100円だったため、予定どおり実施されれば6円の増配となります。

上期は営業減益でしたが、通期の純利益は前期比7.3%増の120億円を見込んでいます。会社としては、通期業績を踏まえて増配できると判断したのでしょう。

もちろん、配当予想は将来の業績や経営判断によって変更される可能性があります。

それでも、増収減益だけを見て「全部悪い決算」と判断するのではなく、通期見通しや株主還元まで含めて確認する必要があります。

高配当ちゃんメモ:

アルミに利益をかじられたけど、株主のおみやげは6円増やす予定なんよ~。
苦戦しながらも増配を持って帰ってきたのは、ちゃんと褒めたいんよ。

財務体質は改善

中間期末の財政状態にも、いくつか良い変化が見られます。

項目2025年12月末2026年6月末
総資産3,437億34百万円3,456億13百万円
自己資本1,794億69百万円1,877億38百万円
自己資本比率52.2%54.3%
有利子負債747億42百万円692億51百万円

自己資本比率は2.1ポイント上昇し、54.3%となりました。

有利子負債は約55億円減少しています。負債全体も前期末から約61億円減少しました。

一方、現金及び預金は約42億円減少。棚卸資産は約64億円増加しています。

棚卸資産の増加は、将来の生産や販売へ備えたものかもしれませんが、在庫として資金が滞留している状態でもあります。次回以降、売上へつながって減少していくのかを確認したいところです。

純資産の増加には、利益剰余金の増加だけでなく、円安に伴う為替換算調整勘定の増加も含まれています。財務は改善していますが、為替の影響も受けていることは押さえておきたいです。

高配当ちゃんメモ:

借金は約55億円減って、自己資本比率も上がったんよ~。
派手さはないけど、こういう地味な改善は長期投資家が好きなやつなんよ。

営業キャッシュフローは改善

営業活動によるキャッシュフローは、前年同期の42億84百万円から74億87百万円へ増加しました。

本業を中心とした事業活動から得られた現金が、前年同期より約32億円増えています。

一方で、棚卸資産の増加によって約51億円の資金が使われています。それでも営業キャッシュフロー全体ではプラスを確保しました。

投資活動によるキャッシュフローは46億72百万円のマイナス。前年同期の130億87百万円のマイナスと比べると、支出額は大幅に減っています。

財務活動によるキャッシュフローは80億32百万円のマイナスとなりました。主な要因は借入金の返済と配当金の支払いです。

その結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は225億94百万円となり、前期末から46億97百万円減少しました。

現金が減ったことだけを見ると心配になりますが、借入金を減らしたことも現金減少の一因です。

営業活動で現金を稼ぎ、その一部を設備投資、借入金返済、配当へ回している構図と見ることができます。

高配当ちゃんメモ:

本業で現金を増やして、設備にも使って、借金も返して、配当も払ったんよ。
お財布の現金は減ったけど、全部どこかへ消えたわけではないんよ~。

今後の決算で見たいポイント

今回の決算を踏まえて、次回以降に確認したいポイントは大きく4つあります。

1.アルミ価格の売価転嫁が利益へ反映されるか

会社は通期予想の修正理由として、アルミ価格上昇分の売価への転嫁が進むことを挙げています。

次回の決算では、ダイカスト事業の売上だけでなく、営業利益率が3.3%から改善しているかを確認したいです。

売上がさらに増えても、利益率が改善しなければ「材料価格が上がった分だけ売上が膨らんでいる」可能性があります。

2.印刷機器が黒字へ戻れるか

印刷機器は、前年同期の9億35百万円の黒字から38百万円の赤字へ転落しました。

設備投資マインドが回復するのか、需要が弱い状態でもコスト削減によって黒字を確保できるのかが注目点です。

3.住建機器の調達コスト

住建機器は、中国人民元高による調達コスト上昇の影響を受けています。

為替が落ち着くのか、調達価格の上昇を販売価格へ反映できるのかによって、収益性が変わります。

4.棚卸資産の増加

棚卸資産は前期末から約64億円増加しました。

在庫が今後の販売へつながれば問題ありませんが、需要が弱い中で在庫がさらに積み上がる場合には注意が必要です。

高配当ちゃんは今回の決算をどう見る?

今回のリョービ決算は、単純に「良い」「悪い」の一言では片づけにくい内容でした。

良かったところ

  • 売上高は前年同期比2.0%増
  • 主力ダイカスト事業は6.2%増収
  • 通期業績予想を上方修正
  • 年間106円の増配を予定
  • 自己資本比率が54.3%へ上昇
  • 有利子負債を約55億円削減
  • 営業キャッシュフローが改善

気になるところ

  • 営業利益は25.4%減
  • 営業利益率が3.9%から2.8%へ低下
  • ダイカスト事業が増収減益
  • 住建機器と印刷機器が営業赤字
  • 印刷機器の売上が37.8%減
  • 棚卸資産が増加
  • 純利益には投資有価証券売却益の下支えがある

会社の主力事業が崩れているわけではありません。

むしろ、ダイカスト事業の売上は増えています。しかし、アルミ価格の急騰と売価転嫁の時間差によって利益率が悪化しました。

今後、売価転嫁が計画どおり進み、営業利益率が回復するなら、今回の減益は一時的な谷だったと評価できるかもしれません。

反対に、アルミ価格の上昇や為替の影響が続き、価格転嫁をしても利益率が戻らない場合は、通期予想達成へのハードルが上がります。

まとめ:アルミに殴られても、増配を持って帰ってきた

リョービの2026年12月期中間決算は、売上高が増加する一方、営業利益は25.4%減少する増収減益となりました。

主力のダイカスト事業では、アルミ価格の上昇分を売価へ転嫁し、円安も売上高を押し上げました。しかし、急激な原材料高へ価格転嫁が追いつかず、利益率は低下しています。

住建機器は中国人民元高による調達コスト上昇、印刷機器は設備投資マインドの低下によって、それぞれ営業赤字となりました。

それでも会社は、売価転嫁の進展や中間期実績の上振れを踏まえて通期業績予想を上方修正。年間配当は前期実績から6円増となる106円を予定しています。

今回の決算を、高配当ちゃん流に一言でまとめるなら、

前半はアルミにお小遣いを没収されたけど、後半は売価転嫁で取り返して、株主には増配を届けるつもりの粘り強いダイカスト帝国なんよ~。

次の決算では、売上高の大きさよりも、ダイカスト事業の利益率が回復しているかを見ていきたいところです。

※本記事は、リョービ株式会社が2026年8月5日に公表した2026年12月期第2四半期決算短信を基に、内容を整理したものです。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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