2026年8月4日、ヤマハ発動機株式会社が2026年12月期第2四半期、いわゆる中間決算を発表しました。
今回の決算を一言でまとめると、
バイクはインドと東南アジアで爆売れ。
営業利益はほぼ2倍となり、通期予想も大幅上方修正。
さらに、長年の重荷だった赤字事業にもついにメスを入れたんよ~。
という内容です。
中間期の売上収益は前年同期比17.2%増、営業利益は88.6%増、親会社の所有者に帰属する中間利益は114.7%増。
上期として過去最高の売上収益と利益を記録しました。
主役は、もちろんバイク事業です。
インドや東南アジアを中心に販売台数が伸び、バイク事業の営業利益は前年同期の616億円から1,160億円へ増加しました。
ただし、今回の利益成長は、
「バイクがたくさん売れたから」
だけではありません。
販売台数の増加に加えて、価格転嫁、経費削減、円安、在庫削減が同時に利益を押し上げています。
その一方で、ROVやゴルフカーなどを扱うアウトドアランドビークル事業では赤字が続き、不振のROVは自社生産を終了することになりました。
売れた。儲かった。在庫も減った。
そして、赤字事業のお片づけも始めた。
今回は、決算短信と決算説明資料を読みながら、ヤマハ発動機がなぜこれほど強い決算を出せたのか、高配当ちゃんと一緒に確認していきます。
まず3行で今回の決算
- 中間期の売上収益は1兆4,980億円で、前年同期比17.2%増
- 営業利益は1,585億円で、前年同期比88.6%増
- 通期営業利益予想を1,800億円から2,600億円へ上方修正。年間配当は50円で据え置き
主力のバイク事業では、インドや東南アジアを中心に販売台数が増加。
バイク事業の売上収益は22%増、営業利益は88%増となりました。
また、マリン、ロボティクス、金融サービスも増益。
一方、アウトドアランドビークル事業は赤字が続いており、ROVの自社生産終了を含む構造改革へ踏み切ります。
高配当ちゃんメモ:
バイクは爆売れ。
利益はほぼ2倍。
でも赤字事業のお片づけも同時に始めた。
アクセルを踏みながら、荷物も整理してる決算なんよ~。
中間決算の数字を確認
まずは、2026年1月から6月までの連結業績を見てみましょう。
| 項目 | 2026年中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆4,980億円 | +17.2% |
| 営業利益 | 1,585億円 | +88.6% |
| 営業利益率 | 10.6% | +4.0ポイント |
| 税引前中間利益 | 1,595億円 | +92.5% |
| 親会社帰属中間利益 | 1,139億円 | +114.7% |
| 1株当たり中間利益 | 117.37円 | 前年同期54.56円 |
売上収益は前年同期の1兆2,778億円から、1兆4,980億円へ増加しました。
増加額は約2,202億円です。
営業利益は840億円から1,585億円へ増加し、増加額は約744億円。
売上収益は17.2%増ですが、営業利益は88.6%増となっています。
営業利益率も前年同期の6.6%から10.6%へ上昇しました。
売上規模が大きくなっただけではなく、売上から利益を生み出す力も大幅に改善したことが分かります。
高配当ちゃんメモ:
売上は17%増えた。
営業利益は89%増えた。
純利益は115%増えた。
売上より利益のほうが猛烈に走ってるんよ~。
半年で期初の通期営業利益予想の約88%に到達
今回、特に驚かされたのが、期初計画に対する進み具合です。
ヤマハ発動機が期初に予想していた2026年通期の営業利益は1,800億円でした。
それに対して、中間期までに稼いだ営業利益は1,585億円。
単純計算では、半年で期初予想の約88%まで到達しています。
親会社帰属利益はさらに進んでいます。
期初の通期予想は1,000億円でしたが、中間期だけで1,139億円を計上。
半年の時点で、期初の通期予想をすでに上回りました。
まだ半年しか終わってないのに、最初の年間目標をほとんど食べ終わってるんよ……。
これを受けて、会社は通期業績予想を大幅に上方修正しました。
| 項目 | 期初予想 | 修正予想 | 修正額 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆7,000億円 | 2兆9,000億円 | +2,000億円 |
| 営業利益 | 1,800億円 | 2,600億円 | +800億円 |
| 親会社帰属利益 | 1,000億円 | 1,700億円 | +700億円 |
| 1株当たり利益 | 103.05円 | 175.16円 | +72.11円 |
営業利益予想は、期初から約44%引き上げられました。
しかも今回の修正予想には、原材料価格の上昇や米国関税に加え、後ほど紹介するアウトドアランドビークル事業の構造改革費用120億円も織り込まれています。
マイナス要因を入れたうえで、営業利益2,600億円を目指す計画です。
高配当ちゃんメモ:
最初は年間1,800億円稼ぐ予定だった。
半年で1,585億円まで来た。
だからゴールを2,600億円まで遠くへ置き直したんよ~。
2Q単独では営業利益が約2.4倍
中間期全体が好調でも、
1Qが良かっただけでは?
と思うかもしれません。
しかし、今回は4月から6月までの2Q単独でも利益が大きく伸びています。
2Q単独の営業利益は958億円。
前年同期の405億円から、553億円増加しました。
倍率にすると約2.4倍です。
中間期の営業利益1,585億円のうち、2Qだけで958億円を稼いでいます。
つまり、年初から好調だっただけではなく、直近の4月から6月にかけて利益の勢いがさらに強まっていました。
2Q単独の営業利益を押し上げた主な要因は、
- 販売影響:+416億円
- 為替影響:+180億円
- 研究開発費:+64億円
- 販売管理費:+34億円
です。
一方で、
- 原価影響:-128億円
- 関税影響:-49億円
というマイナスも発生しました。
原価や関税に利益を削られながら、それを大きく上回る販売増加と為替、経費抑制によって利益を伸ばしています。
高配当ちゃんメモ:
1Qで走り出した。
2Qではさらにアクセルを踏み込んだ。
前半で疲れるどころか、途中からもっと速くなってるんよ~。
ヤマハ発動機は何で稼いでいるのか
ヤマハ発動機の主な事業は、次のように分かれています。
- ランドモビリティ
- マリン
- アウトドアランドビークル
- ロボティクス
- 金融サービス
- その他
ランドモビリティには、主力のMC事業、つまりバイク事業と、電動アシスト自転車などを扱うSPV事業が含まれています。
2026年中間期の主な事業別業績は、次のとおりです。
| 事業 | 売上収益 | 営業利益・損失 |
|---|---|---|
| MC・バイク | 9,643億円 | 1,160億円 |
| SPV | 202億円 | 33億円の赤字 |
| マリン | 3,007億円 | 460億円 |
| アウトドアランドビークル | 803億円 | 120億円の赤字 |
| ロボティクス | 601億円 | 37億円 |
| 金融サービス | 636億円 | 121億円 |
| その他 | 87億円 | 41億円の赤字 |
全社営業利益1,585億円に対し、バイク事業だけで1,160億円を稼いでいます。
単純計算では、全社営業利益の約73%をバイク事業が生み出したことになります。
ヤマハ発動機には船外機や産業用ロボットなど、さまざまな事業があります。
それでも今回の決算では、バイク事業が会社全体を引っ張る圧倒的な主役でした。
高配当ちゃんメモ:
ヤマハ発動機には船もロボットもある。
でも今回、一番たくさん稼いで帰ってきたのはバイクなんよ。
家計の約7割を一人で支えてる働き者なんよ~。
バイク事業は売上22%増、営業利益88%増
主力のMC事業は、次のようになりました。
| 項目 | 2025年中間期 | 2026年中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 7,890億円 | 9,643億円 | +22% |
| 営業利益 | 616億円 | 1,160億円 | +88% |
| 営業利益率 | 7.8% | 12.0% | +4.2ポイント |
売上収益は約1,753億円増加しました。
営業利益は約544億円増加し、前年同期の約1.9倍です。
営業利益率も7.8%から12.0%へ上昇しました。
同じ金額のバイクを売ったとき、前年より多くの利益が残るようになっています。
会社は、インドやASEANなどの新興国を中心に販売台数が増えたことに加え、価格転嫁と為替影響が増益に寄与したと説明しています。
バイクがたくさん売れただけではなく、採算性もしっかり改善しました。
高配当ちゃんメモ:
去年よりたくさん売った。
しかも、1台売るごとに残る利益も増えた。
量と利益率の二人乗りで走ってきたんよ~。
インドと東南アジアでバイクが爆売れ
バイクの販売台数は、前年中間期の244万9,000台から、276万2,000台へ増加しました。
増加台数は約31万3,000台。
前年同期比では13%増です。
地域別の販売台数は、次のようになりました。
| 地域 | 2025年中間期 | 2026年中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 4万2,000台 | 3万5,000台 | -16% |
| 北米 | 4万7,000台 | 5万7,000台 | +23% |
| 欧州 | 12万7,000台 | 13万6,000台 | +7% |
| アジア | 187万台 | 215万7,000台 | +15% |
| その他 | 36万4,000台 | 37万7,000台 | +4% |
日本では販売台数が減少しました。
一方、北米、欧州、アジアでは増加しています。
特に販売規模が大きいアジアは、前年同期から約28万7,000台増えました。
さらに国別の出荷台数を見ると、
- タイ:前年同期比34%増
- ベトナム:110%増
- インド:41%増
- フィリピン:4%増
となっています。
ベトナムでは前年の2倍を超える出荷です。
インドも41%増、タイも34%増と大きく伸びました。
インドや東南アジアでは、バイクは趣味の乗り物だけではありません。
通勤、通学、買い物など、毎日の生活を支える重要な移動手段です。
人口が多く、バイク需要も大きい地域で販売を伸ばせたことが、今回の業績を強く押し上げました。
高配当ちゃんメモ:
ベトナムは出荷が2倍。
インドは41%増。
タイは34%増。
ヤマハのバイク、アジア中を走り回ってるんよ~。
通期のバイク販売予想も上方修正
上期だけではなく、通期のバイク販売計画も引き上げられています。
会社が示した2026年通期の出荷台数予想は、次のとおりです。
- インド:前年同期比29%増
- ベトナム:70%増
- フィリピン:20%増
- タイ:17%増
- ブラジル:7%増
- 先進国:3%増
当初計画では、インド23%増、ベトナム38%増、フィリピン16%増などを見込んでいました。
今回の修正では、特にベトナムの出荷予想が38%増から70%増へ大きく引き上げられています。
上期に売れすぎた反動で、下期は急失速する計画ではありません。
会社自身も、インドや東南アジアが引き続き販売増加をけん引すると見込んでいます。
高配当ちゃんメモ:
上期だけの一発屋じゃなく、下期もまだ走る予定なんよ。
特にベトナムは、年間計画まで一気に強気になったんよ~。
バイクは台数以上に売上が伸びている
ここでもう一つ注目したいのが、販売台数と売上収益の伸び率です。
バイクの販売台数は13%増でした。
一方、MC事業の売上収益は22%増えています。
単純に売上収益を販売台数で割ると、
- 2025年中間期:約32万2,000円
- 2026年中間期:約34万9,000円
となります。
単純計算では、1台当たりの売上が約8%上昇しました。
もちろん、販売地域や車種によって価格は異なります。
この数字をそのまま平均販売価格と考えることはできません。
それでも、今回は低価格のバイクを大量に販売しただけではなく、価格転嫁、販売地域や製品構成、円安などによって、台数以上に売上収益が伸びたことが分かります。
会社が示した中間期の営業利益増減要因でも、販売によるプラス657億円の内訳に、
- 販売規模の増減:+290億円
- プライシング:+212億円
が含まれています。
たくさん売れたことに加えて、価格面でもしっかり利益を確保しました。
高配当ちゃんメモ:
バイクの台数は13%増。
でも売上は22%増。
たくさん売っただけじゃなく、値段の面でもしっかり働いたんよ~。
売上が17%増えたのに、販管費はほぼ横ばい
今回の決算で、バイク販売と同じくらい重要なのが経費のコントロールです。
連結全体の売上収益は、前年同期から17.2%増加しました。
一方、販売費及び一般管理費は、
- 2025年中間期:3,227億円
- 2026年中間期:3,272億円
となりました。
増加額は約46億円。
増加率は約1.4%です。
売上収益は約2,202億円増えたのに、販管費は約46億円しか増えていません。
売上収益に対する販管費の割合を計算すると、
- 2025年中間期:約25.3%
- 2026年中間期:約21.8%
まで低下しています。
売上が伸びても、人件費や広告宣伝費などの経費が同じ勢いで増えてしまえば、利益はそれほど残りません。
今回は売上を大きく増やしながら、経費の増加を抑えました。
そのため、増えた売上が利益として残りやすくなり、営業利益率も6.6%から10.6%へ改善しています。
高配当ちゃんメモ:
売上は2,200億円増えた。
でも販管費の増加は約46億円。
売る量だけ増やして、経費にはあまり食べさせなかったんよ~。
利益を744億円増やした要因
中間期の営業利益は、前年同期から約744億円増加しました。
会社が示した主な増減要因は、次のとおりです。
プラス要因
- 販売影響:+657億円
- 為替影響:+303億円
- 研究開発費:+73億円
- 販売管理費:+52億円
- その他:+55億円
マイナス要因
- 原価影響:-196億円
- 関税影響:-200億円
原材料価格や調達コストが上昇し、米国関税の影響も受けました。
原価と関税を合わせると、約396億円のマイナスです。
それでも販売増加や価格転嫁、経費抑制、為替効果がマイナスを上回りました。
単純に追い風だけが吹いていた決算ではありません。
約400億円の向かい風を受けながら、それ以上の力で前へ進んだ決算です。
高配当ちゃんメモ:
原価と関税に約400億円削られた。
それでも営業利益は744億円増えた。
向かい風に殴られながら、普通に加速してるんよ~。
円安のおかげだけなのか
今回の決算では、円安も大きな追い風になりました。
中間期の平均為替レートは、
- 米ドル:前年148円から158円
- ユーロ:前年162円から185円
へ円安が進みました。
為替による営業利益の押し上げ効果は303億円です。
営業利益の増加額744億円のうち、約4割が為替によるものと考えることができます。
そのため、
結局、円安のおかげでは?
と感じるかもしれません。
ただし、為替効果303億円を除いても、営業利益は約441億円増えています。
さらに、原価と関税による約396億円のマイナスも受けています。
円安が強い追い風だったことは間違いありません。
一方で、販売台数の増加、価格転嫁、研究開発費や販管費の抑制がなければ、ここまでの大幅増益にはなりませんでした。
今回の決算は、
円安に助けてもらった決算
ではありますが、
円安だけで作った決算
ではありません。
高配当ちゃんメモ:
円安さんが303億円手伝ってくれた。
でも販売と経費削減も、自分たちでちゃんと働いた。
全部を為替のお手柄にしたら、バイク部隊が怒るんよ~。
マリン事業も増収増益
船外機やウォータービークル、ボートなどを扱うマリン事業は、次のようになりました。
| 項目 | 2025年中間期 | 2026年中間期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,800億円 | 3,007億円 | +7.4% |
| 営業利益 | 389億円 | 460億円 | +18.3% |
| 営業利益率 | 13.9% | 15.3% | +1.4ポイント |
主要市場である北米では、船外機の需要と販売がわずかに減少しました。
一方、アジアや中南米などでは需要が伸び、船外機全体の販売台数は前年を上回りました。
販売台数の増加に加えて、研究開発費や販管費の削減、円安も利益を押し上げています。
米国関税の影響を受けながらも、営業利益率は15.3%まで上昇しました。
バイクほど派手ではありませんが、高い利益率で会社全体を支えています。
高配当ちゃんメモ:
陸ではバイクが爆走。
海では船外機が静かに増益。
ヤマハ発動機、陸と海の両方から利益を運んでくるんよ~。
ロボティクス事業は黒字転換
ロボティクス事業は、
- 売上収益:483億円から601億円
- 営業損失15億円から営業利益37億円
となりました。
売上収益は24.5%増。
営業損益は赤字から黒字へ転換しています。
中国を中心にサーフェスマウンターの販売が好調だったほか、産業用ロボットの需要も回復しました。
半導体製造後工程装置では、生成AIや先端パッケージ向けの需要が伸びています。
出荷時期の影響で、半導体製造後工程装置の当期販売は前年を下回りました。
それでもサーフェスマウンターなどの販売増加と経費抑制によって、事業全体では黒字転換を達成しました。
高配当ちゃんメモ:
バイクだけじゃなく、ロボット部隊も赤字から帰ってきた。
中国の工場で部品を並べながら、37億円持って帰ってきたんよ~。
金融サービス事業も利益が約1.5倍
金融サービス事業は、
- 売上収益:539億円から636億円
- 営業利益:81億円から121億円
へ増収増益となりました。
営業利益は前年同期比50.6%増です。
ヤマハ発動機は、バイクや船外機などの製品を販売するだけではありません。
製品を購入する顧客向けに、ローンやリースなどの金融サービスも提供しています。
今回は販売金融債権の増加により売上収益が伸びました。
また、金利マージンの改善に加え、前年に計上した金利スワップ評価損がなくなったことも利益を押し上げています。
高配当ちゃんメモ:
バイクを売る。船も売る。
その購入ローンでも利益をもらう。
乗り物だけじゃなく、お金にも働いてもらってるんよ~。
電動アシスト自転車などのSPV事業は赤字拡大
すべての事業が好調だったわけではありません。
電動アシスト自転車、e-Kit、車椅子電動化ユニットなどを扱うSPV事業は、
- 売上収益:191億円から202億円
- 営業損失:22億円から33億円
となりました。
e-Kitの販売台数増加により、売上収益は増えています。
一方、調達コストや研究開発費が増加し、赤字幅は拡大しました。
通期では売上収益410億円、営業損失90億円を見込んでいます。
前年の営業損失148億円からは改善する予定ですが、まだ黒字化には至りません。
高配当ちゃんメモ:
売上は増えた。
でも研究開発と調達コストでもっとお金を使った。
SPVさん、成長のためにまだ先行投資中なんよ~。
大きな重荷になっているアウトドアランドビークル事業
今回、最も気になるのがアウトドアランドビークル、略してOLV事業です。
この事業では、
- ATV、四輪バギー
- ROV、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル
- ゴルフカー
などを扱っています。
2026年中間期は、
- 売上収益:803億円
- 営業損失:120億円
となりました。
前年同期の営業損失137億円からは17億円改善しています。
しかし、売上収益803億円に対して120億円の赤字なので、依然として厳しい状態です。
通期では、構造改革費用も含めて400億円の営業損失を見込んでいます。
バイク事業が1,930億円の営業利益を稼ぐ計画の横で、OLV事業が400億円を持っていく予想です。
バイク部隊が一生懸命稼いだお金を、赤字事業がかなり食べてるんよ……。
会社としても、この状態を放置することはできません。
そこで今回、OLV事業の大規模な構造改革を発表しました。
不振のROVは自社生産を終了
構造改革では、苦戦が続いているROVの自社生産を終了します。
今後はパートナー企業からOEM供給を受け、製品ラインアップを維持します。
自社の経営資源は、より強みを持つ分野へ集中する方針です。
具体的には、
- ATVはスポーツタイプやハイエンドモデルへ集中
- ゴルフカーは商品力やサービス体制を強化
- ROVはパートナー企業との協業モデルへ移行
- 生産・開発体制を効率化
- 調達先の見直しや部品の共通化を推進
- 工場スペースをゴルフカー事業などへ再活用
します。
また、正社員約200名の削減を予定。
派遣人員の適正化などを含め、合計約300名の人員調整を計画しています。
ROVから完全撤退するわけではありません。
自社生産は終了しますが、OEM供給を受けることで商品ラインアップは残します。
自社ですべて抱えるのをやめ、得意な分野へ経営資源を集中する改革です。
高配当ちゃんメモ:
売れないものを全部自分で作り続けるのはやめる。
商品は残すけど、製造は得意な相手にお願いする。
苦手な宿題を抱え込まず、得意科目へ集中するんよ~。
構造改革費用120億円を使い、2028年の黒字化を目指す
今回の構造改革に伴い、2026年には約120億円の一過性費用を計上する予定です。
主な内容は、
- 人員体制の最適化に伴う費用
- ROVの生産終了に伴う追加的な販売促進費用
- 在庫廃棄
- 取引先への対応費用
- 減損損失
などです。
会社は、2027年にOLV事業の収益を大幅に改善し、2028年の単年度黒字化を目指しています。
重要なのは、この構造改革費用120億円を今回の通期業績予想へすでに織り込んでいることです。
赤字事業を立て直すためのお金を使ったうえで、連結営業利益2,600億円を予想しています。
ただし、構造改革を発表したからといって、すぐに赤字が消えるわけではありません。
2026年は400億円の営業損失を見込んでおり、黒字化目標は2028年です。
今後は計画どおり赤字を縮小できるか、継続して確認する必要があります。
高配当ちゃんメモ:
今年は120億円払って大掃除。
来年は赤字を大きく減らす。
2028年には黒字のお部屋に引っ越す予定なんよ~。
売れただけではなく、在庫も大きく減少
今回の決算では、利益だけではなく在庫も改善しました。
棚卸資産は、
- 2025年12月末:5,914億円
- 2026年6月末:5,388億円
となりました。
半年間で約525億円減少しています。
在庫は、商品を作った時点では現金になっていません。
売れずに積み上がれば、保管費用がかかり、値下げや廃棄が必要になる可能性もあります。
今回はバイクを中心に販売を伸ばしながら、在庫も減らしました。
商品が売上と利益だけでなく、現金へ変わっていることが分かります。
決算説明資料でも、好調な販売に加えて在庫削減を進め、キャッシュ・コンバージョン・サイクルをさらに改善する方針が示されています。
高配当ちゃんメモ:
たくさん作っただけじゃない。
ちゃんと売って、倉庫から外へ出して、現金に変えたんよ。
商品を積み上げるより、お金を積み上げる方がうれしいんよ~。
フリーキャッシュフローは1,026億円のプラス
キャッシュ・フローも大きく改善しました。
| 項目 | 2025年中間期 | 2026年中間期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | 367億円 | 1,534億円 |
| 投資キャッシュフロー | -397億円 | -508億円 |
| フリーキャッシュフロー | -31億円 | +1,026億円 |
営業キャッシュフローは、前年同期の367億円から1,534億円へ増加しました。
投資活動では508億円を支出しましたが、それを上回る現金を本業から生み出しています。
その結果、フリーキャッシュフローは前年同期の31億円のマイナスから、1,026億円のプラスへ転換しました。
利益が増えていても、売掛金や在庫ばかり増え、現金が残らない決算もあります。
今回は棚卸資産を減らしながら、1,000億円を超えるフリーキャッシュフローを確保しました。
利益と現金の両方がついてきている、質の良い決算です。
高配当ちゃんメモ:
利益は帳簿の上だけじゃなかった。
フリーキャッシュフローも1,000億円を超えた。
ちゃんと現金を持って帰ってきたんよ~。
金融サービスを除けばネットキャッシュへ転換
ヤマハ発動機の有利子負債は、2026年6月末時点で1兆297億円あります。
一見すると、かなり大きな借入金です。
ただし、ヤマハ発動機は金融サービス事業を行っています。
顧客向けのローンやリースを提供するために資金を調達するため、金融サービス事業の負債を製造業の借金と同じように見ることはできません。
金融サービス事業を除いたネットキャッシュは、
- 2025年12月末:マイナス590億円
- 2026年6月末:プラス198億円
へ改善しました。
本業側では、現金が有利子負債を上回る状態へ転換しています。
高配当ちゃんメモ:
全部の借金だけ見ると1兆円。
でもローン事業の分を分けて見ると、本業側はネットキャッシュになったんよ。
金融会社の財布と、バイク工場の財布は分けて見るんよ~。
通期予想では各事業の利益も大幅改善
2026年通期の事業別営業利益予想は、次のようになっています。
| 事業 | 2025年実績 | 2026年修正予想 |
|---|---|---|
| MC・バイク | 1,235億円 | 1,930億円 |
| SPV | 148億円の赤字 | 90億円の赤字 |
| マリン | 536億円 | 870億円 |
| OLV | 398億円の赤字 | 400億円の赤字 |
| ロボティクス | 17億円 | 125億円 |
| 金融サービス | 211億円 | 270億円 |
| その他 | 189億円の赤字 | 105億円の赤字 |
| 全社 | 1,264億円 | 2,600億円 |
バイク事業は695億円の増益を見込んでいます。
マリン事業も334億円増、ロボティクス事業は108億円増の予想です。
一方、OLV事業は構造改革費用を含むため、前年よりわずかに赤字が拡大する計画です。
今期は強い事業が利益を大幅に伸ばしながら、その一部を使って赤字事業を整理する一年になりそうです。
高配当ちゃんメモ:
バイク、マリン、ロボットが稼ぐ。
その横でOLVのお片づけ代を払う。
稼ぎながら家の修繕も進めてるんよ~。
年間配当は50円で据え置き
業績予想は大幅に引き上げられましたが、2026年の年間配当予想は50円で据え置かれました。
内訳は、
- 中間配当:25円
- 期末配当予想:25円
- 年間配当予想:50円
です。
今回の上方修正後の1株当たり利益は175.16円。
年間配当50円に対する予想配当性向は28.5%です。
前年の年間配当は35円だったため、今期予想の50円は前年から15円の増配です。
ただし、50円という予想は期初から発表されており、今回の大幅上方修正に合わせた追加増配はありませんでした。
利益予想が700億円も増えたなら、もう少しおみやげも欲しかったんよ~~!
という気持ちはあります。
一方、会社は決算説明資料で、着実な業績改善により「機動的な自己株式取得を目指す」と説明しています。
ただし、現時点で新たな自社株買いが正式に決定したわけではありません。
今後の業績や財務状況によって追加還元が行われるか、注目したいところです。
高配当ちゃんメモ:
利益予想は大幅アップ。
でも配当は50円のまま。
追加のおみやげは、増配か自社株買いか、まだ受付で相談中なんよ~。
総還元性向40%以上の目標との関係
ヤマハ発動機は、2025年から2027年の中期経営計画で、平均総還元性向40%以上を目標としています。
今回の修正予想では、
- 1株当たり利益:175.16円
- 年間配当:50円
- 予想配当性向:28.5%
- 現時点の予想総還元性向:28.5%
となっています。
現時点では、目標の40%を下回っています。
ただし、この目標は単年度ではなく、中期経営計画期間中の平均です。
会社は自己株式取得を機動的に実施する方針も示しています。
今後自社株買いが行われれば、総還元性向は上昇します。
追加還元が確定したわけではありませんが、利益とキャッシュ・フローが大きく改善したことで、還元余力は高まったと考えられます。
今後の決算で見たいポイント
1.インド・東南アジアのバイク販売
今回の増益を最も強く引っ張ったのは、インド、ベトナム、タイなどのバイク販売です。
会社は通期予想も引き上げています。
次回以降も販売台数が計画どおり伸びているかを確認したいところです。
2.バイク事業の営業利益率12%
MC事業の営業利益率は、前年同期の7.8%から12.0%へ上昇しました。
今後も販売増加と価格転嫁を続け、2桁の利益率を維持できるかが重要です。
3.円安への依存度
中間期には、為替が営業利益を303億円押し上げました。
通期予想の為替前提は、米ドル159円、ユーロ182円です。
円高方向へ動けば、現在の利益予想が下押しされる可能性があります。
4.原材料価格と米国関税
中間期には、原価と関税で合計約396億円のマイナスが発生しました。
中東情勢などによって原材料価格がさらに上昇する場合、価格転嫁や経費削減だけで吸収できるかを確認する必要があります。
5.OLV事業の構造改革
2026年は400億円の営業赤字を見込んでいます。
ROVの自社生産終了や人員調整を進め、2027年の大幅改善、2028年の黒字化を実現できるかが重要です。
6.在庫とキャッシュ・フロー
今回は棚卸資産を約525億円減らし、フリーキャッシュフロー1,026億円を確保しました。
販売を伸ばしながら、今後も在庫を適正水準へ減らせるかを見ていきたいところです。
7.追加の株主還元
年間配当予想は50円で据え置きです。
業績が修正予想どおり進んだ場合、追加増配や自社株買いが発表されるかも注目点です。
高配当ちゃんは今回の決算をどう見る?
今回のヤマハ発動機決算は、かなり強い内容でした。
良かったところ
- 売上収益は前年同期比17.2%増
- 営業利益は88.6%増
- 親会社帰属利益は114.7%増
- 上期として過去最高の売上収益と利益
- 通期営業利益予想を1,800億円から2,600億円へ上方修正
- バイク事業の営業利益は88%増
- MC事業の営業利益率が12.0%へ上昇
- インドや東南アジアでバイク販売が大幅増加
- マリン事業も増収増益
- ロボティクス事業が黒字転換
- 金融サービス事業の営業利益が50.6%増
- 棚卸資産を約525億円削減
- フリーキャッシュフローが1,026億円のプラス
- OLV事業の具体的な構造改革を発表
気になるところ
- 営業利益には303億円の為替効果が含まれる
- 原価上昇と関税で約396億円のマイナス
- SPV事業は赤字が拡大
- OLV事業は中間期120億円の赤字
- OLV事業は通期400億円の赤字予想
- 構造改革費用120億円を計上予定
- OLV事業の黒字化目標は2028年
- 年間配当は50円で据え置き
- 自社株買いは「目指す」としているものの、まだ正式決定ではない
- 円高へ動いた場合には利益が下押しされる可能性がある
今回の決算を、
「円安でバイクが売れたから絶好調」
だけで片づけるのは、少しもったいありません。
円安効果は大きかったものの、販売台数そのものが増えています。
価格転嫁も進み、売上の伸びに対して販管費をほぼ増やさず、在庫も削減しました。
さらに、マリン、ロボティクス、金融サービスも利益を伸ばしています。
一方で、すべての事業が好調なわけではありません。
SPVとOLVは赤字です。
特にOLV事業は通期400億円の赤字を見込んでおり、今後の構造改革が予定どおり進むかを確認する必要があります。
強い事業は、本当に強い。
でも弱い事業は、まだかなり弱い。
今回は稼ぐ力を見せながら、弱い部分の治療も始めた決算なんよ~。
というのが、今回のヤマハ発動機決算の姿だと思います。
まとめ:バイクが爆走し、利益も現金もついてきた。赤字事業のお片づけはこれから
ヤマハ発動機の2026年12月期中間決算は、売上収益1兆4,980億円、営業利益1,585億円となり、大幅な増収増益でした。
主力のバイク事業では、インドや東南アジアを中心に販売台数が増加。
売上収益は22%増、営業利益は88%増となり、営業利益率も12.0%へ上昇しました。
バイク販売の増加に加えて、価格転嫁、販管費や研究開発費の抑制、円安が利益を押し上げています。
原価上昇と米国関税による約396億円のマイナスを受けながら、営業利益を約744億円増やしました。
バイク以外では、マリン事業が増収増益。
ロボティクス事業は赤字から黒字へ転換し、金融サービス事業の営業利益も約1.5倍となりました。
在庫も約525億円減少し、フリーキャッシュフローは1,026億円のプラス。
売上と利益だけではなく、現金もしっかり増えています。
一方で、アウトドアランドビークル事業は中間期120億円の赤字。
通期では、構造改革費用を含めて400億円の赤字を見込んでいます。
会社は不振のROV自社生産を終了し、OEM供給へ移行。
約300名の人員調整などを進め、2028年の単年度黒字化を目指します。
年間配当予想は50円で据え置かれました。
利益予想が大きく増えただけに追加増配も期待したくなりますが、会社は機動的な自己株式取得を目指す方針を示しています。
今回の決算を、高配当ちゃん流に一言でまとめるなら、
バイク部隊がインドと東南アジアを走り回り、過去最高の利益と1,000億円の現金を持って帰ってきた。
その横では、赤字のOLV部屋を120億円かけて大掃除中。
稼ぐ力は文句なし。でも、お片づけが予定どおり終わるまで見届けたい決算なんよ~。
次の決算では、バイク事業の販売台数と利益率に加え、OLV事業の赤字が計画どおり縮小しているかを確認したいところです。
また、好調な業績とキャッシュ・フローを背景に、増配や自社株買いなどの追加還元が発表されるかも注目していきたいと思います。
※本記事は、ヤマハ発動機株式会社が2026年8月4日に公表した2026年12月期第2四半期決算短信および決算説明資料を基に、内容を整理したものです。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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